気分障害

病態

 誰でも悲しいことやストレスで気分が沈むことはありますが、時間の経過と共に自然に回復していきます。
 また、興奮したり、イライラすることはあっても、一時的なもので、やがておさまります。
 しかし、気分が沈んだ状態(抑うつ状態)や、興奮やイライラする状態が著しかったり(躁状態)、持続的なものであったり、幻覚妄想等を伴ったりする場合は病的です。
 他の精神疾患でも気分の症状は呈しますが、主な症状が気分変動(抑うつ状態、躁状態)であり、活動も気分に支配されたものであれば、気分障害と診断します。

 そして、気分障害は症状の現れ方や程度によって、うつ病、躁うつ病、混合性の気分障害、持続性気分障害等に分けられます。

うつ病躁うつ病

うつ病

■症状、経過
 抑うつ状態のみが出現します。
まず、憂うつ、悲観的になる、興味や喜びを感じられなくなる等、気分の低下が生じます。また、思考や判断力の低下、意欲低下も出現し、努力すれば日常的な仕事はできますが、新しいことを計画・実行するのは難しくなってきます。
 症状は朝に強いため、目が覚めても寝床から離れることができず、午後~夕方にやや元気が出てきて、活動できるようになります。

 悲観的な考えが強くなると、微小妄想(現実はそうではないのに、全て自分が悪い、財産を失ってしまう、重病にかかっていて治らない等の考えに捉われる)を呈します。
 更に症状が進むと、食事もできず、洗面や入浴等の身の回りのこともできなくなり、極度に悪くなると、自発的な動きがなくなり、話しかけられても応答がない昏迷状態になったり、絶望的な考えに捉われて自殺を図ったりすることもあります。
 うつ病の多くは治療により回復しますが、半数以上の方で再発がみられるといわれています。

■治療
 休養と薬物療法、精神療法、社会的サポートで治療します。
 心身が疲労しエネルギーがなくなってきているので、様々なストレスから離れて休み、ゆっくりエネルギーを補うことが必要です。
 また、食欲や情動に関係するセロトニン、意欲に関係するノルアドレナリン等の神経伝達物質が欠乏することにより、うつ病を発症すると考えられているため、薬物療法では、セロトニンとノルアドレナリンを補う抗うつ薬にて気分の安定を図ります。
 基本的には外来通院で治療しますが、重症のとき(食事や睡眠をとれなくなったり、自殺願望が強い場合等)、重症ではなくても入院が必要なとき(自宅では充分な休養ができない場合等)は入院治療を行います。
 休養と薬物療法を行いながら、家族、職場、学校等、周囲の協力を得て、ストレスを受けにくく、生活しやすい環境を作っていくことが大切です。
 また、医師と相談しながら、考え方や物事への取り組み方を見直し、よりストレスを受けにくい考 え方、取り組み方へと改善していくことも必要です。
 治療の結果、気分が安定して充分なエネルギーを保持できるようになると、起床、睡眠、食事等の生活リズムを維持でき、日常的な仕事を行う意欲や活動性が出てくるので、職場や学校に復帰する準備を少しずつ進めていきます。
 完全に回復しても、再発防止のために、充分な期間、薬物療法を続けることも大切です。

躁うつ病

■症状、経過
 躁状態と抑うつ状態が繰り返されます。
 躁状態のときは、楽観的で自信に満ち、休みなく働いても疲れを感じませんが、些細なことに激怒して攻撃的になる等、気分の障害がみられます。
 また、いろいろな考えが次々と頭に浮かび、そのまとまらない考えを話し続けたり、自分は天才であると述べる等の誇大傾向を呈する、思考の障害も認めます。
 自信過剰で意欲が亢進しているため、買い物、異性関係、事業等を無計画にやり過ぎてしまう行為の障害もみられ、社会的に逸脱してしまうこともあります。
 睡眠障害が必ずみられ、短時間睡眠が続いても平気であり、重症になると全く眠らず、イライラや興奮状態を認めることもあります。
 その状態が続くとやがて衰弱します。

■治療
 うつ病と同様に、休養と薬物療法、精神療法、社会的サポートで治療します。
 ただ、うつ病とは違って、抑うつ状態と躁状態の双方に対応して気分の変動を改善する、気分安定薬を中心とした薬物療法を行います。
 また、躁状態が強いときは抗精神病薬、うつ状態が強いときは抗うつ薬を併用することもあります。
 軽症であれば通院治療が可能ですが、躁状態で興奮が強いときや、社会的逸脱行為が止まらないとき、衰弱しているときは入院治療が必要です。
 治療により症状が落ち着いた後も気分安定薬を継続することで、再発予防につながります。